『しつらえ』と『幼児教育』に関する一考察

これまで、茶道のエッセンスを使って、いくつかの場とかちょっとした仕掛けを考えてきました。
私は茶道の家元ではないけれど、しつらえ、もてなしなど、茶道には「学び」や「場」に関する
たくさんのヒントがあると思っているので、面白いと思っています。


でも、
わたしが茶道のしつらえ・もてなし、に惹かれるのは、
もう一つのルーツの影響があるな、とふと思いました。


それは、学部時代に学んだ幼児教育。
幼児教育の「環境づくりをとおして幼児の主体的な成長を支援する」
という考え方がすごく面白いと思っています。


幼稚園での教育実習のとき、こんなできことがありました。


ちょうど子どもの目の高さくらいの机に、
子どもが作った作品を並べて持ち帰れるようにしておいて、
と先生から言われ、わたしはせっせと並べました。


このように、きれいに。


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でも、すぐ先生に直されました。
このように。

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↑こちらから見るとちょっとずつずれている。
先生「こどもの目線で見たら、奥に自分のがあったら、わからないでしょ」


私が並べた並べ方(上)だと、
隣で上から見ている大人がいれば、すぐにとってわたしてあげられる。
けれど、先生のように並べれば(下)、
目線の高さと同じテーブルから、子どもは自分の作品を自分で探して
自分でとることができる。


大人にとってもらうのではなくて、
自分で選ぶということが、こどもにとっては大きな一歩。
自分で選ぶという行為を引き出せるかどうかは、
大人の環境づくり、しつらえ次第。
私はこのシーンをそう思い返します。


茶道のお茶席も、イベントやワークショップの場も、
こういうちょっとしたしかけのエッセンスがたくさん絡み合ってなりたっている。
どうしつらえれば、どんな学びが起きるのか。
これからいろいろ試していけたら良いなと思います。

どこまで仕込んで、どこを引くのか。そういう問いもでてきますが、
まずは、仕込む、しつらえる、環境を作るということについて書きました。